深刻な少子高齢化問題を抱える現代社会。元気なお年寄りも多いが、一方で増加し続ける高齢者の医療費はわが国が抱える大きな問題の一つとなっている。
年齢とともに体が思うように動かなくなるのは仕方のないことだが、老化は少しでもくい止めたいもの。ある調査によると、太ももの脂肪量がその人の老後の健康や生活に大きく影響するという。ひざ上についた脂肪は、「ヨボヨボ老後」のサインだというのだ。
米国のウェイクフォレスト医療センターの研究チームが、太ももの脂肪が多い人ほど加齢と共に歩行が困難になりやすいと発表した。
肥満が進むと筋肉細胞の内側にも外側にも脂肪がつき、筋力低下を引き起こす。脚部の筋肉は歩行速度などの可動性に深く関わるため、そのまま加齢が進めば歩くのが困難になってくる。運動や外出がおっくうになると筋肉は更に退化し、体の虚弱化、病気、ひいては引きこもりによる孤独死などの深刻な問題にも繋がりかねない。
同研究チームは、平均年齢74.6歳の男女2306人を対象に、20分のウォーキング速度を1年おきに4年間計測した。結果をCTスキャンで調べた被験者らの体組成と照らし合わせると、ひざ上の脂肪量が多い人ほど筋量が少なく、4年間で歩行速度が顕著に遅くなっていた。
研究チーム責任者のビーバーズ博士は、「自立した老後を送るためには、いかに体の機能低下を食い止め、自力歩行困難を防げるかが課題となります。これは個人的、かつ社会的な課題です」と述べている。
平均寿命が延び、「老後」が長くなった現代社会。元気で活動的な人生を送れるよう、健康管理をしっかりしたいものである。ご参考までに、英国の国民保健サービスが推進している「足腰を鍛える簡単なトレーニング法」をご紹介しよう。
1. スクワット(15回×2セット)
足を肩幅に開き、腕は体の横に下ろすか、地面と平行になるよう体の前に伸ばす。膝がつま先より前に出ないよう、直角になるまで曲げて腰を落とし、ゆっくりと元の姿勢に戻る。背中を丸めると腰に負担がかかるので背筋を伸ばしたまま行うように。
2. ランジ(片足15回ずつ)
左右の足を前後に開いて立つ。背筋を伸ばしたまま、ゆっくりと腰を落とし、両膝が直角近くに曲がるまで深く体を沈める。前の膝がつま先より前に出ると膝を痛めやすいので注意。前に踏み出した方の足で床をグッと押すようにして元の姿勢に戻る。
3: かかと上げ (15回×2セット)
直立の姿勢から、ゆっくりと重心をつま先へと移してかかとを上げ、ゆっくりかかとを下ろす。最初は壁や椅子につかまりながら、慣れたら補助なしで、または両手にペットボトルなどのウエイトを持っての実践もおすすめ。
以上である。特別な器具なしでできる簡単なものだ。ピチピチな老後を迎えるためにも毎日の生活に取り入れてみてはどうだろうか?